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2008-09-11 (Thu) 09:37
乃南アサの花盗人(はなぬすびと)という本を読みました。


表題作を含む全10編の
短編集です。
画像が「新刊」となっていますが
発行されたのは1998年4月で
約10年前。
今回読んだのは二度目です。

ライン 鉛筆
 ~あらすじ(表題作:花盗人)~
   「あなたが私にくれたのものは、あの桜の小枝だけ。
    あなたが盗っていったものは、私のすべて。」
   自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。
   しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった・・・・・・。   
   (カバーより抜粋)
ライン 鉛筆

収録されている10編、どれも濃く巧い作品だと思います。
連続してどんどん読み進めるのではなく
ひとつの話を読んだら、その余韻を十分味わって
時間をあけてから、次の話へ進んだ方がいいんじゃないかな、と思います。
その方が、ひとつひとつの話を楽しめるんじゃないかと思います。
最初に読んだ19の時は「寝言」「愛情弁当」に感心しました。
長編を読んだような充実感というか
構成の見事さというか
なんて巧いんだろう!と惹きこまれた記憶が強くあり
この度再読したのですが・・・・・・

あれから10年。
生活環境ががらりと変わり、
自分の社会的位置も家庭的位置も何もかも変わった現在、
私が特に忘れられないのは、表題作の「花盗人」
こんなに恐ろしい作品だったんだ!と読み終えて愕然としました。
人の心のサスペンスというか
日常に潜む深い深い落とし穴の入り口は、なんて浅いんだろうと
思わせる作品です。

この作中に出てくる「夫」ほどあまりにすべての面において酷い男は
そうは多くないとも思いますが・・・
ものすごいリアリティと巧さで
目の前に映像が流れるように読めます。

誰もが毎日繰り返している日常。
ごくごく当たり前の生活の中に潜む、心の歪み。
人と人との溝。すれ違い。
決定的な大きな出来事をきっかけにするのではなく
小さな、見過ごしてしまいがちなズレを積み重ねてしまった末に起こる「結果」。
 何が原因だったんだろう、
 どうしてこんな事になってしまったんだろう、
起こった後でそんな事を考えてしまうような結末の答えを
この作品では語っているように思います。

花盗人の中では、私に強烈な印象を与えた主人公の言葉があります。
(この作品の集約とも言える台詞だと思うので
 読みたい人だけ続きから読んでくださいね。)


 


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